積む積む

夏休みだった。

休み中に積読を少し解消しようと旅のお供に持って行ったのは以下の3冊。

本屋な日々 青春篇

本屋な日々 青春篇

 

 

読んでいない本について堂々と語る方法 (ちくま学芸文庫)

読んでいない本について堂々と語る方法 (ちくま学芸文庫)

 

 

公園へ行かないか? 火曜日に

公園へ行かないか? 火曜日に

 

結論から言うと、『本屋な日々 青春篇』はあとがきだけを残してあとは全部読むことができたし、この本の内容をもとに、本周りの人たちと話すという体験もした。 『公園へ行かないか? 火曜日に』は、アメリカで多国籍でさまざまな年代のWriter(物書き)たちが学生生活を送る、というエッセイのような小説。

そのシチュエーションがちょっとした夏休み感もあって、生活から離れられる感じがよかった。こちらは半分くらい読み終わった。

『読んでいない~』については、今回一行も読めなかった。またいつか。

 

さて、この休み中に、また本が増えてしまったのである。

忘れられた日本人 (岩波文庫)

忘れられた日本人 (岩波文庫)

 

1冊目は実家の最寄り駅に一番近い新刊書店で買った。

時事的に話題になったことから、この本に収められている「子供をさがす」という掌編を知ったのだが、普通にちゃんとあったし、平置きされていた。

都市の駅前書店のラインナップはさすがであると思うばかり。

帰路の電車の中で読んだが、遠く昭和の農村のことと思いながら、それらの記述によって浮かぶ考えは現代に即したものに変換できる。平成最後の夏に「忘れられた」何かを思い出す作業。不思議な気持ちになる。

 

2冊目は馴染みの古書店で。

 

本の読み方

本の読み方

 

 このブログに書いている読書のセッションの根底にあるものは、突き詰めると「読書とは」「本とは」になる。この本を手に取らないでいられようか。

そう思っていたら、なんと直後に、この本の作り手のひとりに会うことになった。

我ながらこういうときのヒキは大変強い。

もともとは雑誌の連載だったらしく、ぱらぱらと「ヒロイヨミ」できる本。

 

アフリカの日々 (河出文庫)

アフリカの日々 (河出文庫)

 

3冊目。

東京の東の、まるで屋根裏のような「独立系」本屋Hで買う。

土日のみ開店している。

とあるZineを取り扱っていると知っていたので訪れたかった店だ。

板張りの床の上にまで直に本を置いてあるのは新鮮だった。

目当てのものと、他のZineも。そして別の本を買おうと手にしていたのだが、最終的にこの文庫本に目がいき、チェンジした。

『アフリカの日々』はいつか長距離を移動するときに読みたい。楽しみである。

自分は友人の部屋の本棚をみるような気持ちで、じっくりと棚をみて楽しかったが、同行していた友人のひとりは閉塞感を感じて息苦しくなってしまったようだ。

 

 

ちょうちょのために ドアをあけよう

ちょうちょのために ドアをあけよう

 

 4冊目。

また別の独立系本屋Rにて。ここはHとは逆に2階まで吹き抜けで開放感がある。

棚に同じ本が2冊・3冊と並んでいるのが、個人経営の小規模な本屋では珍しい気がして、なぜかを店主氏に聞いてみたら「在庫があるのを忘れちゃうので」という返答だった。

絵本もこの規模の本屋にしてはたくさん扱っているほうだと思う。この小さな絵本は今年出たばかり。

センダックのこうした絵は愛らしいので、楽しく頁をめくっていたが、ある部分で手が止まる。

おとうさんと おかあさんを つくるのは あかちゃん

もし あかちゃんが うまれなければ ふたりは どっちも ただの ひと 

この1日前に、ちょうど、きょうだいのところに生まれた赤ちゃんに会ってきたばかりだったので、そうか、「ただのひと」か、と打撃を受ける。

一度は棚に戻したものの、結局他の本を選ぶ気になれなくて、これを買った。

 

写真集―誰かに贈りたくなる108冊 (コロナ・ブックス)

写真集―誰かに贈りたくなる108冊 (コロナ・ブックス)

 

5冊目。

帰ってくる途中に通る町の、県内で一番大きい書店で買った。

休み中に会った人に教えてもらった本だ。この本をきっかけに、写真鑑賞に目覚めたという。ケルテスの「ON READING」も載っていた。ただし、原著だった。

薄いが、写真集のレビューの言葉が確かにぐっとくる。

入手できない本もたくさんありそうだが、読ませるガイドである。知らない世界を垣間見ることは楽しい。

 

アートの入り口 美しいもの、世界の歩き方[ヨーロッパ編]

アートの入り口 美しいもの、世界の歩き方[ヨーロッパ編]

 

 6冊目。

これも同じ書店で。

『写真集』と同じ芸術のフロアで、現在開催中の美術展関連フェアが展開されていた。その美術展には行こうと思っていることもあり、何気なく観たのだが、表紙の写真にひかれて開くと、表紙はロバート・キャパアンリ・マティスを撮ったものだと説明があった。

ヨーロッパのアートに関するガイド的な本だが、語り口が読みやすい。

海外のアートというと敬遠しがちだけれど、身近に感じられるようなエピソードと、写真に質感があって好もしい。一通り読めたなら、今後さまざまな美術展があっても楽しめる気がする。

 

こうして、

読んだ以上に増やして帰ってきた。

そしてまた積むのだった。