小さなまちの奇跡の図書館

ブログ投稿に3年空いてしまった。

その間も、読書会は続けていたのだけど、お互い忙しくて振り返りをしなくなってしまっていた。1行でも書けばよかった、もったいなかった。

 

2013年最初の本はこちら。

帯文に「まちが変わる 人生が変わる」とある。

自分自身、図書館に出会って人生が変わったひとりであるので、実感できるが、おそらく図書館にクロスオーバーしない人生もあると思う。

 
ちくまプリマー新書で書かれたことの意味について。同シリーズは
「プリマー=入門書」という名にふさわしく、特に若い人たちに最初に手に取ってもらいたい新書として創刊(筑摩書房ウェブサイトより)
とあるように、物事の基本的な内容を読みやすく手に取りやすく、という目的で作られている。
前著で著者の猪谷氏が取り上げた紫波町オガールの取組みは、ある意味スペシャルな人たちのプロジェクトX、という様相もあって、大変わくわくと面白くはあったけれど、万人にとって興味があることかというと、そうではないかもしれない。

今回の鹿児島の指宿市の図書館をとりあげた物語は、「一見、どこの町にでもある普通の図書館」を運営する人々の奮闘の話だが、その図書館に起きたことを読むことで追体験するうちに、誰にでも「図書館はそういうこともできるのか」と、図書館の基本的な機能が理解できるような構成になっていると感じた。
 
本書では、指宿図書館のルーツもひも解いていて、そのことにより、指宿という土地のことが垣間見えるし、そこに必要であったものを「未来の人たちのために保管し残す」図書館の役割について、あらためて考えさせられもした。
 
運営されている人びとにとってみれば、「奇跡」でもなんでもなく、やるべきことをやっている感覚なのだろうけれど、身近な図書館の様子をみてみると、どうだろうか?
 
図書館は広い世界への扉だと思っている。
「当たり前を実践することで起きた奇跡」を紹介する本書は、その扉を開くきっかけになりうる一冊だと感じた。